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秘密(10) [のだめカンタービレ二次小説]

兄の言葉にシュトレゼーマンは大粒の涙を流した。

そして何度も謝罪を繰り返した。

横にいる千秋が同情するほど。


「お母さんが亡くなる前ずっとこの写真を肌身離さず持っていたんだよ」

そういうとラードルフは引き出しから古ぼけた一万の写真を取り出して見せた。

それは幼い頃のラードルフ、妹、シュトレゼーマンが椅子に座る母に

寄り添って撮られたものだった。

おそらく父親が撮影した唯一の写真だろう。


「うっ、うっ・・・」

シュトレゼーマンは嗚咽あげながら泣いた。


「おまえを責めるつもりでこれをみせたのではない。

お母さんはおまえの事をずっと気にかけていたんだよ。

最後の最後までおまえは愛されていたんだ。私とべリンダが

やきもちを焼くほど」

「・・・お母さん、ごめんなさい・・・」

許しを請うように何度も繰り返す。


何故、母が危篤だと連絡が来た時に帰ってこなかったのか。

いや、その前に嘘から始めてしまった事が一番の間違いだったのだ。

自分の音楽に自信があれば無名の村であっても

それが人が好まない民族だったとしても

誤魔化す必要などなかった。


どんなに後悔しても過ぎ去った時間は戻らない。


「私に・・・勇気があれば・・・」

「いいや、フランツ。私達も悪かったのだ。おまえが内緒で母にお金を

送ってくれていた事知りながらそれを拒否する事が出来なかった。

結局、口止め料を貰っていたのと同じなのだから」

「そんな事・・・」

「毎月毎月送られてくるお金を無いものとは思えなかった。

実際、お母さんはそのお金で十分な治療を受ける事が

出来たのだから」


シュトレーゼマンは涙を流し続けた。

それでも自分は親不孝な息子だった。


「お母さんの最後の言葉は『私はフランツの一番のファンだから』

だった。そういって眠るように息を引き取った」


確かに母親はシュトレーゼマンの事を心配していたのだ。

そして愛していた。







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