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秘密(11) [のだめカンタービレ二次小説]

「人は元々同じ人はいない。双子でもね。羨望や妬みで誰かを傷つける方法は

幾つかあるけれど変える事の出来ない何かを取り立てて非難するのは

卑怯だわ。そう思わない?オリバー」

エリーゼは珍しく同意を求める。

人の意見などおかまいなしの彼女にしてはまれな事だった。

それは多分、エリーゼ自身、揺らいでいる表れだろう。


「シュトレーゼマンが一般的に嫌われる民族だという事実は

変えられないわ」

「そんなものは彼の音楽とは無関係では?」

「建前ではね」

まるで教科書のような答えねと言っている様に聞こえた。

「私は、九歳の時両親に連れられて彼の音楽に初めて触れたの。

とても衝撃的だった。今まで感じた事にない体験だったわ。

その時、決めたの。彼の傍で仕事をしたいって」


エリーゼはシュガレットケースからタバコを取り出し火を点けた。

最近は控えていたが今、そういう気分だった。

「十数年後、ボスに頼み込んで私は彼のマネージャーになった。

それまで彼の良くない噂は耳にしていたけれど・・・」

そこまで言うと煙を吐き出す。

「噂以上だった。あんなにも恋焦がれた人がこんなにも

堕落した人だとは思わなかったわ」

「止めようとは思わなかったのですか?」

「何度かそう思ったけれどやっぱり彼の音楽以上に私を衝撃を

与えるものはなかったし、みんなが逃げ出す彼の操縦法を

考えるのは楽しかったから」


「それでも貴女は彼が好きなのですね?」

オリバーの問いにエリーゼはびっくりしたような顔をしたが

すぐに元の表情になった。


「少々長く居すぎたのかもしれないわね・・・」

その言葉は後悔しているようでもあり

諦めのようでもあった。

タバコを乱暴に灰皿に押し付ける。


「おしゃべりの時間はおしまいよ!」

やはりこのままにしておけない。

「ドイツに向かわれるのですね」


「ええ。だからマスコミを巻いて頂戴」

「承知しました」

オリバーは彼女の人間臭さを見た気がした。

初めて会った彼女は高圧的で人を寄せ付けない冷たさを感じた。


だが今は違う。

純粋に彼女を助けたい。



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